信用金庫のビジネスフェアや銀行のビジネスマッチングの活用方法

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今年の東海地区信用金庫のビジネスフェアの開催内容は?
https://www.shinkin-businessfair.jp/

取引のある銀行や信金から「ビジネスフェアに参加してみませんか?」とか、「ビジネスマッチングサービスに登録してみませんか?」と勧誘を受けたことかある経営者の方も少なくないのではないでしょうか?

今、銀行や信金は企業と企業をマッチングさせる、ビジネスマッチングサービスを積極的に展開しています。

しかし、このようなサービスやイベントに参加することにはどんなメリットがあるか分からないという人も少なくありません。

上手に活用できれば企業にとってメリットがありますが、自社が活用しようという意思がなければ参加料や時間の無駄になってしまう可能性もあります。

ビジネスフェアやビジネスマッチングの概要や活用法や注意点について詳しく解説していきたいと思います。

金融機関がビジネスマッチやビジネスフェアを開催する目的

銀行や信金などの金融機関はビジネスフェアやビジネスマッチングを行い、積極的に企業と企業を結びつける試みを行っています。

これは、地方銀行や信用金庫などの地域密着型の金融機関では特に活発に行われています。

金融機関がビジネスフェアやビジネスマッチングを行なっているのには以下のような理由があります。

金融庁の意向

金融庁は地域金融機関に対してビジネスマッチングなどによって地域企業の仕事の創出に貢献するようにと促しています。

金融庁が地方銀行や信用金庫などを監督する際の指針である、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」には金融機関が取引先企業に対するソリューションとして「ビジネスマッチングや技術開発支援により、新たな販路の獲得等を支援」と明確に記載されています。

つまり、地域金融機関は取引先企業に対して、ビジネスマッチングなどによって新たは販路拡大などのソリューションを行うように金融庁から求められているのです。

地域経済の発展

地方銀行はじめとして、地域金融機関は融資先の減少によって非常に厳しい経営環境にあります。

ビジネスマッチングやビジネスフェアによって、企業に新たな仕事が生まれれば、企業が発展し、地域経済が発展し、銀行にとっても良好な経営環境となります。

銀行などの地域金融機関はそもそも、地域の経済を発展させ、雇用を創出するという公共的使命を負っているので、ビジネスフェアなどを行なっています。

融資案件の創出

銀行にとって最も大きな目的が、融資案件の創出です。

企業と企業がマッチングして、新しい製品やサービスを創出すれば、そこには高い確率で資金需要が生まれます。

銀行にとってみれば、資金需要があれば融資のチャンスです。

景気がいい時というのは、黙っていても企業に資金需要が生まれ、融資の話が銀行へ入ってきますが、景気が悪い時というのは、民間企業は投資や新規事業に消極的になるので黙っていてもなかなか資金需要は生まれません。

そこで、ビジネスマッチングによって企業と企業を結びつけ、銀行自ら資金需要を創出し、融資に結びつける目的で銀行はビジネスマッチングを行なっています。

 

どんなビジネスマッチングがある?

銀行や信用金庫によって、ビジネスマッチングのサービスは様々です。

実際に商談会のような場を設けている金融機関もありますし、クラウドソーシングのようにオンライン上で、企業同士がマッチングできるサービスを提供している金融機関も存在します。

ビジネスフェアやビジネスマッチングの具体例を紹介していきます。

よい仕事おこしフェア

城南信用金庫が行なってる「よい仕事おこしフェア」は、国内最大級のビジネスフェアです。

東京都や東北地方を中心とした63の信用金庫共催による「日本を明るく元気にする“よい仕事おこし”フェア」今年の開催内容は?
https://www.jsbank.co.jp/business/service/saleschannels/opportunity/

信用金庫の信ちゃんブログ

ちなみに2018年は東京ビッグサイトで行われ、全国212の信用金庫の協力のもと、526ブース、45,980名の来場者、当日商談件数3,672件という結果となっています。

実際に、3,600件以上の商談が行われているので、他社の技術を得たい企業や、他社に技術力やサービスなどをアピールしたい企業にとっては、かなり効果のあるビジネスフェアということができるでしょう。

さらにバイヤー大商談会や、全国の物産品販売エリア、東北応援うまいもの広場などのイベントも多数行われているので、企業同士の結びつきを提供するだけでなく、一般の人でも楽しめるような非常に規模の大きなイベントとして定着しつつあります。

城南信用金庫はこのように、ビジネスマッチングに力を入れていますが、全国の信用金庫も商談会を開催するなど、地銀出身の私としては銀行よりも力を入れているというイメージです。

今年の東海地区信用金庫のビジネスフェアの開催内容は?
https://www.shinkin-businessfair.jp/

WEB上でのビジネスマッチングサービス

筆者が勤務していた銀行と行われていたのが、銀行が提供するオンライン上のビジネスマッチングサービスです。

企業に登録してもらい、サービスを使用するためのIDとパスワードを企業へ交付し、その後は企業が「こんな技術がある」「こんな技術やサービスが欲しい」ということを自由にやりとりができ、取引先企業を探すことができるような仕組みになっています。

しかし、銀行が企業にお願いして登録することからスタートしていますので企業も利用に消極的です。

また、地方の経営者の中には「商売は顔と顔を合わせて信頼できる人としか行わない」というクラシックな考えを持っている人も多いので、私が勤務していた頃はほとんどサイトを利用している顧客はいなかったと記憶しています。

このようなビジネスマッチングを行なっている金融機関は少なくありません。

その中でも、日本政策金融公庫が提供するインターネットビジネスマッチング
は業界の中で最も大きな規模を誇っていますし、全国の商工会議所が運営するザ・ビジネスモールというサービスもあります。

企業側がまだまだこのようなサービスの利用に積極的ではないため、信用金庫が行うビジネスフェアと比べて盛り上がりに欠けている印象です。

 

ビジネスマッチングやビジネスフェアの活用方法

このように、銀行によってビジネスマッチングやビジネスフェアの形は様々ですが、この機会を事業に活かすことができるかどうかは、参加する企業の姿勢と、金融機関の本気度次第というのが実情です。

ビジネスフェアやビジネスマッチングにはどのような活用方法があるのか、ご紹介していきます。

自社が足りないノウハウを探すことができる

ビジネスマッチングやビジネスフェアには目的をもって参加するということが最も重要です。

「こんな事業を始めたいけど、そのために必要な〇〇という技術が欲しい」というように、まずは、自社が行いたいビジネスのビジョンをしっかりと持ち、そのビジネスを成功させるノウハウを持った企業を探すというのが、ビジネスマッチングの基本です。

筆者が以前担当していた企業では、大学と提携して人口衛星を飛ばすための技術開発を行なっており、そのために足りない技術を持った企業を銀行が紹介したということがありました。

これは、ビジネスマッチングやビジネスフェアという場所での話ではありませんが、このように、まずは金融機関に対してビジョンを示し、そのために必要なノウハウや技術を探すというのが基本的な活用方法です。

自社の技術の意外な活用法を探すことができる

ビジネスフェアやビジネスマッチングの場所では、自社の技術を他社にアピールする絶好の機会です。

ここでは、自社の技術を知った他社が、他社のビジネスのために活用することができる可能性があります。

前述した人口衛星の話でも、銀行が紹介した企業は宇宙開発とは全く異なる業種だったと記憶していますので、自社が気づかない自社の技術の活用法や可能性を見つけることができる可能性があるのです。

ビジネスマッチング絡みの融資案件は審査に通りやすい

前述したように、銀行などの地域金融機関は融資案件の創出のためにビジネスフェアとビジネスマッチングを行なっています。

自社で開催したビジネスマッチングで生まれた案件を融資によって育てるというのは、まさに銀行や信用金庫にとって誇れる話です。

このため、ここで生まれた資金需要に対しては銀行や信金はかなり積極的に融資に応じてくれます。

以前、「ガイアの夜明け」でビジネスマッチングによって信金が結びつけた案件に融資を行なって事業を育てたということが特集されていました。

https://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/smp/backnumber4/preview_20161206.html

このように地域金融機関の中でも積極的にビジネスマッチングを行なっているところは、融資に対しても積極的です。

自社単独で、新規事業のために必要な企業を見つけてくるよりも、融資を受けることができる可能性は高くなるでしょう。

 

【注意】金融機関によってスタンスは全く異なる

ビジネスフェアやビジネスマッチングに対するスタンスは金融機関によって大きく異なります。

ビジネスマッチングやビジネスフェアで新しいビジネスチャンスを掴みたい人は、ビジネスマッチングやビジネスフェアに積極的な金融機関を選択すべきです。

・積極的な金融機関は相談するだけでマッチング先を探してくれる
先ほどの「ガイアの夜明け」の事例でも分かるように、ビジネスマッチングやビジネスフェアを行っていなくても、積極的な金融機関は取引先企業に必要な技術や資源を、相談するだけで探してくれます。

普段から積極的にビジネスフェアを行っている金融機関や、直接融資などに結びつかなくても企業のニーズに応えてくれるように最大限努力をしてくれる金融機関などが開催しているビジネスフェアやビジネスマッチングに参加しましょう。

消極的な金融機関はただ参加を促すだけ

一方、消極的な金融機関は、ただ「何社参加させてこい」というノルマに追われ、「参加して下さい」と頭を下げてくるだけです。

筆者が勤務していた銀行も、当時は(現在は分かりません)そのようなスタンスでした。

支店ごとに、〇〇社登録させろというノルマが課され、そのノルマが担当者ごとに振り分けられて、担当者は取引先企業が新規事業や新規取引先を模索しているかどうかとは無関係に、ただお願いを聞いてくれるかどうかだけを判断基準に参加企業を増やしていきます。

結果、参加している企業に積極性がないので、ビジネスフェアやビジネスマッチングでは、どの企業にもやる気がないという状態となります。

企業のニーズを聞くことなく、参加ばかりを促してくる金融機関は、対外的にビジネスマッチングを積極的に行っているということをアピールしたいだけですので、参加してもあまり意味はないかもしれません。

担当者によっても対応は全く異なる

筆者が勤務していた当時は、銀行はビジネスフェアやビジネスマッチングに対してあまり積極的ではありませんでした。

しかし、担当者によっては、企業のニーズを積極的に捉えて、企業が求める情報や取引先を紹介するという人は少なくありません。

銀行全体では積極的にビジネスマッチングやビジネスフェアを行っていたとしても、担当者が顧客目線に立てない場合には、このような機会を生かすことができなくなってしまうのです。

担当している人が良い担当者かどうか知るために、直接融資には結びつかないような「〇〇という技術を持っている企業を知らないか」など聞いてみましょう。

ここで、企業を探してくる担当者は企業にとって有益な担当者ですし、無関心な担当者は自分の与えられた仕事しか興味のない担当者と言えます。

 

ビジネスマッチ・ビジネスフェアは主体性が重要

ビジネスマッチングやビジネスフェアは、自社が積極的に活用しようと思えない限りは成功できません。

ビジネスマッチングで成功するポイントと注意点について最後に解説していきたいと思います。

・自分からほしい技術や取引先も見つけにいく

「どのような事業をしたいのか」「どのような技術やノウハウを求めているのか」「自社のどの技術をアピールしたいのか」ということをあらかじめ明確にして、ビジネスフェアやビジネスマッチングに参加しましょう。

まずは、自社が目的意識を持つことが第一です。

銀行が見つけてきてくれるという待ちの姿勢では何も生まれないことが多い

「銀行から参加を促されたのだから、銀行がマッチングさせてくれるだろう」的な待ちの姿勢で参加しても、思うように取引先を見つけることはできません。

金融機関が提供するのは、あくまでも機会だけです。

そもそも、銀行が積極的に紹介する姿勢であるならば、ガイアの夜明けで紹介されたケースのように、マッチングやフェア以外の場所で紹介を受けることができているはずです。

自社が目的意識を持ち、その目的に見合った企業を自分の足で積極的に探すことが成功のためのポイントです。

ただの営業はうまくいかない

このようなビジネスフェアやビジネスマッチングを営業の機会と捉えている経営者も少なくありません。

しかし、ビジネスフェアやビジネスマッチングはただ人脈を広げ、これまで付き合いがなかった企業の社長と仲良くすることだけを目的としたものではありません。

自社の新規事業や技術をアピールして、より幅広い事業展開を行うための場です。

異業種交流会などの名刺交換のための会ではありませんので、スタンスを間違えないように注意しましょう。

 

まとめ

銀行や信用金庫は、融資先を確保する目的や地域経済活性化のために、ビジネスフェアやビジネスマッチングを積極的に行っています。

やる気のある金融機関が行うビジネスマッチングやビジネスフェアに参加すれば、商売拡大につながる可能性がありますが、やはり大切なのは、自社の目的意識とアピールです。

うまく事業拡大の話がまとまれば、銀行から融資を受けることができる可能性は決して低くはありませんので、ビジョンがある経営者の方や、自社の技術やサービスをより広く広げていきたいという方は、積極的に活用する価値はあると思います。