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そのため、小さい経営基盤でも頑張っている零細の社長や個人事業主向けに、速やかに行える資金繰り方法や運転資金借入に必要な知識などを、自身の勉強を兼ねて記載したのが当サイトになります。
銀行員や信用金庫に勤務している方に話を聞いてコンテンツを作っているのですが、零細の自営業や個人事業主に身近なのは信用金庫ですので、特に信金からの融資や借入に焦点を当てています。
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信用金庫のビジネスフェアや銀行のビジネスマッチングの活用方法
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信用金庫で事業性融資を受けるメリット・デメリット
資金調達や借入はどの金融機関から?各金融機関の特徴
資金調達は企業の生命線
あなたが事業を行う経営者であるならば、資金調達の必要性を感じたこと、または調達を迫られたことがあると思います。
営業を継続する上で必ず行うことになると断言しても良いほど、企業における資金調達は必須の行為です。
業績が不調の際は赤字補填資金として、好調の時は追加の仕入れ資金としてまたは設備投資資金として、企業のフェーズを問わず浮上する課題です。経営者がまず最初にぶつかる壁は資金繰りであり、その過程の中で資金繰りの重要性および「資金調達」の確実性を如何に高めておくか、それが不可欠の能力であると気づくはずです。
その過程を経て初めて、経営者としてのスタート地点に立ったと言っても過言ではありません。それほどに資金調達は重要なのです。
相談はまず金融機関へ
いざ資金調達をしようとした場合、調達手法は色々ありますが金融機関へ相談することが一般的です。金融機関は融資を行うことが本業であり、また各種資金調達の商品を保有し各調達手法の窓口ともなれます。
事業性融資の相談をワンストップで行えるため、最初の相談窓口として最適です。ですが一口に金融機関といっても、銀行、信用金庫、信用組合等多数の業態がありどこに相談するのが良いのかはわからないと思います。
結果として資金調達ができればいい、お金に色は付いていないのでどこで借りても同じお金ですので差はありませんが、融資の対応で差があるのが現実です。
各金融機関の特徴を理解し、自社にとってベターな先から事業性融資を受けることが大切です。
銀行と信用金庫・信用組合との違い
まず銀行と信用金庫・信用組合との違いを理解しておきましょう。
・銀行は銀行法に基づき営業を行う株式組織の営利法人です。営業範囲に制限はなく全国のみならず海外展開も可能です。
・信用金庫は信用金庫方に基づき営業を行う会員出資の協同組織で、非営利法人です。営業エリアには制限があります。
・信用組合は中小企業等協同組合法協同組合による金融事業に関する法律(協金法)に基づき営業を行う組合員出資の協同組織で、非営利法人です。営業エリアには制限があります。
・労働金庫
労働金庫は労働金庫法に基づき営業を行う労働者の相互扶助を目的として設立された会員出資の協同組織で、非営利法人です。営業エリアには制限があります。
簡単にまとめますと
銀行=株式組織 営利法人
信金・信組・労金=協同組織 非営利法人
となり、組織自体の目的がはっきりと違います。どちらが良いという話ではなくスタンスの違いと理解しましょう。そして重要なのは自社のステージと金融機関のスタンスを考慮し、資金調達を依頼する金融機関を選択するということです。
信金・信組は類似している点が多く、労金は事業性融資を本業としていないため、今回は主に銀行と信用金庫を比較し、中小企業が信用金庫から事業性融資を受けるメリットを説明していきます。
中小零細事業者が信用金庫から事業性融資を受けるべき理由とメリット
信用金庫はそもそもが中小企業向けの金融機関
信用金庫はその目的を「3つのビジョン」として掲げています。
- 中小企業の健全な発展
- 豊かな国民生活の実現
- 地域社会発展への奉仕
これは全国の信用金庫共通のものとなっています。
そもそも信用金庫は、銀行に取り合ってもらえない企業規模の小さな事業者への金融サービスの提供を目的に設立された歴史があり、中小企業を専門とすることが前提となっています。
また信用金庫法により大企業との融資取引はできないようになっているなど、まさに中小企業に特化した、中小企業のための金融機関なのです。
この記事を読んでいるあなたはおそらくは中小企業の経営者であると思います。あなたこそが、信用金庫のど真ん中のお客様なのです。
信用金庫はあなたへのソリューション提供を真摯に取り組みます。それが彼らの存在理由だからです。恐れずに堂々と信用金庫へ訪問しましょう。
信用金庫は地銀以上に地元出身者で固められた組織
信用金庫は銀行と違い中小企業のための金融機関であるとのお話をしましたが、社員の構成についても顕著な違いがあります。
都銀と地銀とでは差はありますが、あなたのお住いの近隣の銀行には、地元の方が何人いるでしょうか。おそらくはほとんどいないはずです。
銀行は支店網が全国にあり、人事異動により転勤を繰り返しています。銀行業界において同一支店への長期配属は不正予防の面から推奨されておらず、2〜3年での転勤が普通です。よってお顧客からは慣れた頃に担当が変わって困る、とのお叱りを受けることになります。
一方で信用金庫も人事異動はあり、同じように2〜3年で転勤はしますが、信用金庫の職員はほぼ全員が地元の人物である点が銀行との違いで、営業エリアもほぼ地元となります。つまり、転勤はあれど地元から離れるわけではない、ということです。
よって、何か不誠実な対応を行うとその噂は瞬く間に地元に広がり、信用を大きく失墜することになるため、疎かな対応はできないという強烈なバイアスがかかります。
なにより地元に骨を埋める覚悟で信用金庫に就職しているため、地元企業との連帯感は銀行に比べて強いものがあります。
地元の祭りや運動会等のイベントでは、自分の担当の顧客または担当であった顧客と顔を合わせることが頻繁にあります。
そういった公私ともに「顔」が繋がっている相手方に対し、人はいい加減な対応をすることができません。信用金庫が地元民の集まりであることは、実は中小企業にとって最高の材料なのです。
銀行と比較して親身で融通のきく融資姿勢
現在の地銀以下の金融機関の至上命題は「事業性評価」です。これは簡単にいうと「決算書等の数値面の評価だけではなく、中小企業の販売網や技術力等を評価した上で金融機関はソリューションを提供し、企業の再生と発展に寄与するべし」ということです。
つまりは中小企業に寄り添って問題解決の手伝いをしなさい、というオーダーが国から出ており、その対応に金融機関は躍起になっています。
簡単に「寄り添う」といっても、これはかなり人的コストがかかる作業であり、また時間もかかります。
一面的な見方になりますが、銀行はこれまで決算書等の数値を重視する傾向がありました。決算書が良ければ貸す、悪ければ貸さない。また決算書が悪くなったら融資金利を上げるなど、ドライな対応を行うことがありました。
これを一概に責めることはできません。彼らは株式会社の社員であり利益追及を行うべきだからです。
ですが近年の「寄り添う金融機関」というパラダイムシフトに対して、そのコストフルな実務を行っていくことは難しいでしょう。
そもそも中小企業に対し人員が不足しているはずですし、即数字に反映し辛い活動を事業性評価は要求するからです。
一方で信用金庫は国に言われるまでもなく「寄り添う金融機関」を存在の目的として長年営業を行ってきました。地元の中小企業にどれだけ寄り添えるかを存在意義として活動を継続してきたのです。
ですので伴走者としての経験値が違います。おそらくは金利等の条件では信用金庫は銀行に劣後すると思われますが、中小企業の課題に対し親身に寄り添い共に歩んでいく姿勢は信用金庫の方が上です。
企業経営者としてそれがどれほど心強いかは語るまでもないでしょう。
信用金庫は「事情」が最終決裁者まで通りやすい
銀行と比べて信用金庫は規模が小さいことが一般的です。当然にその組織体もコンパクトになっています。
銀行と比べて現場からトップまでの距離が短く、意見具申は比較的しやすい形態となっています。
また営業範囲が決まっていることから、信用金庫のトップは営業範囲内の企業について広く深い知識を有しています。
企業の歴史は当然として代表取締役の配偶者や子供などの情報等、地元密着ならではの知識には舌を巻くことが多々あります。
あなたの企業が決算書上全く懸念ないのであれば融資審査はスムーズに行われるでしょう、しかし何がしかの懸念がある場合、金融機関は対応を迫られます。
その際、信用金庫は決算書上だけでなく、その人の人脈、親類、来歴、取引業者、所属団体等、様々な要素を検討します。銀行でも当然に検討すると思われますが、信用金庫ではその要素に対し、最終決裁者である役員が強い理解を示すことが違いです。
決算書に現れないそれらの要素が当地においてどれだけの信用力を発揮するのか、役員は地元金融マンとしての長い経験からその「価値」に具体的な信ぴょう性を見出します。
これは信用金庫ならではのウェットな話ではありますが、中小企業としては福音でしょう。得てしてそういった無形の事情を重視して欲しいと思われる経営者は多いのではないでしょうか。
数値では現れない定性的情報が通用しやすいのが信用金庫なのです。
信用金庫が銀行に劣る点 デメリット
信用金庫から事業性融資を受けるメリットについて、「中小企業専門の金融機関」であり「構成員はほぼ地元民」であるため「親身な融資相談姿勢」と「企業の事情を深く勘案」してくれることだと説明させていただきました。
企業が融資を受けるにあたって最大の懸念は借りられるのか否かです。その点で限界まで取り組んでくれる信用金庫へ相談することのメリットは大きなものがあります。
一方のデメリットとしては、銀行融資よりも平均して金利が高くなることが挙げられます。比較して資産規模の小さい信用金庫は金利競争の面で劣後してしまいます。
町の電気屋さんと大手電気店との価格差があるのと同じ構図です。優良な内容の会社であれば銀行はかなりの低金利を提示してきますが、私の経験から信用金庫は銀行との金利競合にはなかなか勝てません。
また、融資に対する保全の面でも銀行の方が「緩い」傾向があります。これも金融機関の規模の差が出るところで、融資が焦げ付いた時の金融機関へのダメージは相対的に信用金庫の方が大きくなるためです。
よって融資に対する保証・担保は信用金庫の方が厳しい要求をしてくる可能性が高いと考えられます。
信用金庫からの融資メリット 銀行融資と比較 まとめ
現在の金融機関はその形態によらず、顧客の問題解決を行うことを国から求められています。ですのでどの金融機関に行ってもそれなりに真摯な対応は受けられるものと思われます。
しかし、信用金庫は中小企業に特化した金融機関として存在し、長年地域企業のために営業を続けています。
中小企業を定性情報に至るまで深く理解し、継続的に支援することにおいては一日の長があります。
金利等の条件面では銀行に劣る可能性は高いですが、目先の支払利息の多寡のみで借入先を決める中小企業経営者はいらっしゃらないでしょう。
資金調達が企業の生命線である以上、伴走してくれる金融機関に求めるべきは親密感です。信用金庫はあなたの会社の最大の理解者となれます。それを目的として地域のみに存在しているのです。
信用金庫の事業融資 運転資金借入の審査
事業資金の融資を初めて信用金庫から借りる審査 借入条件 金利 必要書類
今あなたが既に事業を行っている、または事業を始めようと思っており、信用金庫から事業資金を借りようとしているとしたら、おそらくはとても不安に感じているのではないでしょうか。
その不安はおそらく「果たして融資してもらえるのかどうか」に集結するものかと思いますが、門前払いはされないにしても自分が保有している情報が少なすぎて、てんで見当違いの質問をしてしまったり、馬鹿にされたりはしないか不安になったりもあるかと思います。
金融機関は普通に生活している分にはあまり接点がない業種です。給与振込や各種料金の引き落とし等、誰しも日常的に利用はしていますが、金融機関のスタッフと対面して交渉するという機会はほとんどないでしょう。
ですから、いざ融資を受けようと思っても、何をしていいのかどうかわからないのが当然です。
そうではあっても、あなたには融資をどうしても取りつける必要がある。そのためにまず行うことは、相手方をよく知ることです。
信用金庫がどのような仕組みで融資審査を行うのか、それをこれから見ていきましょう。「自分を知り、相手を知れば百戦危うからず」という言葉の通り、戦で勝つには相手をよく知ることが重要な要素です。
信用金庫の融資審査システムと審査の流れ
あなたが新規起業者または中小零細企業の経営者である場合、融資の相談は大手銀行より信用金庫に行なうべきです。
信用金庫はその設立目的の中に、中小企業の健全な発展(信用金庫の三つのビジョン)が掲げられており、一方で大企業は融資対象者にならないなど、事実上中小企業支援に特化した金融機関です。
自身が規模の小さい中小企業者であるため「鼻で笑われ馬鹿にされるのではないかと思っていた」と話されたお客様もいらっしゃいましたが、そもそも信用金庫は中小企業者と同じ船に乗ることを義務付けられた仲間であるため、堂々と門を叩きましょう。
中小零細企業者のあなたこそが望ましいお客様なのです。
信用金庫の審査ルートは、おおよそ以下のようになっています。
融資申込
→ ①面談した担当者での検討・稟議作成
→ ②融資担当役席の審査
→ ③営業店支店長の審査(or決裁)
→ ④本部審査部署での審査
→ ⑤理事長以下役員の承認
→ ⑥理事長の決裁
融資の相談を行うことが事実上の申込みとなりますが、まずはその担当者が融資可能かどうかの検討を行います(①)。
担当レベルで「これはとても融資できない」との判断に至れば融資は謝絶されてしまいます。
担当者が融資可能と判断した場合、次にその支店の融資担当役席(副支店長・次長)が案件を精査し、融資可否の審査をします(②)。
ですが、実際の業務では担当者が融資相談を受けた場合、すぐに融資担当役席に相談をかけるため、①と②は一体となるのが通例です。
また、この段階で融資の可否を左右する稟議はおおよそ固まってしまいますので、提示可能な情報、特にプラス材料となるもの(提供できる担保、預金などの金融資産、優良な取引先等)はすべて開示するのが重要です。後出しは印象が悪くなるのはじゃんけんだけではありません。
融資担当役席が納得した後、正式な稟議として支店長へ提出されることとなります(③)。
たいていの場合、支店長に事前の相談もなくいきなり稟議を上げることはありませんので、②と③は同時並行で進みます。ですので、融資担当役席が稟議を完成させた=支店長の審査はパスした、と考えてよいと思います。
信用金庫において融資が最終的に確定する「決裁」は、案件により決裁を下す人が変わってきます。
すべての融資の決裁者は理事長(銀行での頭取)ではありますが、ある一定の金額や条件の中であれば、支店長に決裁権が委譲されています。
理事長が直接決裁する稟議を「本部稟議」、支店長が決済するものを「支店長専決」と私たちは呼んでいます。
支店長専決で対応できる基準は信用金庫によって違いますが、一般的には1,000万円から2,000万円の間くらいだと思います。また金利と返済期間の下限上限も設定されているのが通例です。
支店長専決で対応するのであれば、融資審査は③で終了となり、融資は確定します。本部稟議となった場合は、④の本部審査部署での審査に回ることとなります。
本部の審査部署は年がら年中稟議内容を精査し、融資可否を検討していますので、①~③までの融資審査よりも厳しい目線となります。ここを超えれば融資はまず決定しますので、まさに正念場です。
明け透けに言ってしまえば、支店の担当者や融資担当役席は「本部稟議が通るか否か」を第一に考えて稟議を組み立てます。
自分が納得できる稟議内容を作り上げても、本部稟議ではじかれれば何の意味もありませんし、お客様の期待に応えることもできなくなります。
よって、融資担当役席は自分のポリシーなどかなぐり捨てて「通りやすい稟議内容」を作成することに躍起になります。また、一度本部稟議ではじかれた案件の再審査自体が稀有であり、決裁を得られる可能性は極めて低くなることから、本部稟議は1発勝負の様相を呈しています。
ここまで読まれると、前述の「提示可能なプラス情報はすべて提示しておく」の重要性がお分かりいただけると思います。
本部審査部門の審査を通過した後は理事長以下役員の承認⑤および理事長の決裁⑥へと進みますが、ここで融資不可となるケースはほとんどないといっていいでしょう。ここを通過して初めてあなたの融資は決定されます。
ここまで読まれてお気づきかと思いますが、
信用金庫における融資審査は手数が非常に多いということです。
手数が多いということは、それなりの時間が必要だということです。また、融資取引がこれまでないのであればなおさらです。
信用金庫に初めて融資の相談をする際の最大の注意点は「資金必要日から十分な時間的余裕をもって相談する」ことと言えるでしょう。
例えば「2日後に資金が欲しい」と相談しても、融資取引がない先であればほぼ不可能だと考えられるため、その場で謝絶されてしまう可能性は極めて高くなってしまいます。
融資条件と金利・利率
信用金庫に限らず、融資金利は借主の決算書の内容(財務内容)と保証・担保(保全)によって決まるのが常識です。
融資を受ける目的は理にかなっていても、その融資の額や返済額があなたの会社に対し過剰である場合や、決算書の内容がよくない場合などは、当然に借入金利は上がることとなります。
また、融資金額に対して十分な担保や保証がない場合も同様です。加えて、これまで融資取引がない場合は返済の実績がないため、金利が上がる可能性は高くなります。
融資の借入条件としては、金利のほかに担保や連帯保証人、または信用保証協会の保証などがありますが、これらを要求されるかどうかも決算書の内容によってほぼ決まってきます。またこちらも金利と同様に、取引実績がない場合は厚めに要求される傾向にあります。
※ 信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の違い比較
ですが、各市町村や県において、借入条件が決算内容によらず決まっている制度融資という商品があり、こちらは比較的低金利で借入ができる上に固定金利である場合が多いため、多くの中小事業者が利用しています。
また創業の場合はさらに優遇される傾向がありますので、まずは制度融資を検討すべきだと思います。
融資条件等は各市町村に問い合わせるか、資料の配布等を行なっていますので、ご自身で調べることが重要です。
また、融資相談を行う場合に「この制度融資を利用したい」と宣言しておいた方がよいでしょう。審査途中で制度融資を希望されると、審査が遅れてしまう原因となる場合があります。
必要書類
初めて信用金庫で融資を依頼したい場合、持参すべき書類はいくつかありますが、まずは以下の書類を準備しましょう。
① 決算書3期分(3期経過していない場合は経過分のみ)
決算書がなければ話が進みませんので必須です。最低3期分は審査上必要となり、また勘定科目明細も提出しましょう。
② 事業計画書(新規事業者の場合)
創業する場合、当然決算書はありませんので事業計画書を提出することになります。事業計画書の無い創業資金の申込はあり得ませんので必須となります。
内容については信用金庫のアドバイスを受け、より精度の高いものにしていくことが往々にあり、共同作業にて完成を目指すことも珍しくありませんので、必ずしも完璧なものでなくてOKです。
③ 法人の登記事項証明書、経営者の運転免許証、または健康保険証等の本人確認書類
全く取引がない場合、本人確認の必要があります。法人の登記事項証明書、代表者の免許証等の本人確認書類を持参してください。
④ 保有資産の資料
不動産や預金などの資産が確認できる資料があれば提示された方がよいでしょう。いずれ必要となります。
不動産を所有している場合は固定資産税納付通知書または市役所で発行している固定資産評価証明、金融資産の場合は定期預金証書などのコピーなどです。
⑤ 企業と自分の沿革および略歴を示したもの
融資取引を行なう上で、その企業がどのような沿革により現在があるのか、また代表者がどのような人物であるのかは重要な要素です。
書式としては一般的な履歴書で十分ですので、提出しておくとその後の確認事項が減り、審査スピードが上がります。
⑥ 許認可に関する書類
許認可が必要な業種の場合に必須となります。コピーで結構ですので持参しましょう。
上記資料の提出があれば、初回の相談で大まかな方向性が見えてくる確率が高まります。このほかにも提出を求められる資料はあるかと思いますが、最初はこれだけあれば十分です。
信用金庫への相談は臆することなくお気軽に
最後にもう一度申し上げますが、
信用金庫は中小企業の健全な発展に寄与するために存在する地域金融機関です。
できうる限りの資料を持参し、真摯に相談を行えば必ず親身になって相談に乗ってくれるはずです。
誰しもはじめは金融機関の素人です。敷居は限りなく低くなっています。まずは、相談をしてみましょう。
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信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資の違い比較
事業を行なっている法人・個人が、事業に必要な資金を信用金庫から借りようと考える場合、ほぼ確実に「信用保証協会の保証付き融資」と「プロパー融資」の2択となります。
これらはそれぞれ特徴があり、どちらがお得であるかという比較は簡単にはできません。
また、事業者が選択できない場合もあります。
ですが、それぞれの特徴を知ることで金融機関に対し、より有利な条件を依頼することもできますので、理解しておくに越したことはありません。
信用保証協会の保証付き融資とは?
信用保証協会の保証付き融資とは、金融機関からの借入について、信用保証協会が保証をする融資となります。
信用保証協会が保証をすることが約束されるため、基本的に担保や代表者以外の保証人は不要となります。
注意すべき点は、この場合の「保証」とは、金融機関からの借入を保証してもらうものであり、中小企業者が借入を返済できなくなった場合に信用保証協会が代わりに金融機関に借入金の残額を弁済する契約です(代位弁済)。
その後、中小企業者は金融機関ではなく信用保証協会に返済する必要があります。
借入が「チャラ」になるものではないという点を認識しておきましょう。
そもそも信用保証協会とは?
信用保証協会は信用保証協会法に基づき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関で、全国47都道府県に各信用保証協会があるなど、日本全国を網羅しています。
その機能を簡単に言ってしまえば「保証料を支払うことにより、自分の融資の保証人になってもらえる」ということです。
金融機関からお金を借りようと思っても、事業を始めたばかりで実績がない場合や、事業実績はあっても業績が低調で、また担保もない場合などは、なかなか金融機関は融資対応しづらいものです。
そんな時、信用保証協会の保証を受けられれば、強力な保証人を得たのと同じ効果があるため、金融機関から融資が受けやすくなるのです。
信用保証協会の保証付き融資のメリットとデメリット
メリット
① 担保、保証人がなくても借入を行うことができる
信用保証協会が保証してくれますので、原則、担保・代表者以外の保証人は不要です。
担保提供できる不動産等を持っておらず、また保証人になってもらえる人がいない場合でも、借入を行なえる可能性があることは大きなメリットです。
② 金融機関の融資審査が通りやすくなる
金融機関にとって信用保証協会からの保証が受けられる融資は、貸し倒れがほぼない融資となりますので、信用金庫側としては断る理由がなくなります。
保証が受けられることが決まれば、融資が受けられることは確実と考えてもいいでしょう。
特に信用金庫などの地域金融機関は、大手都銀・地銀と比較し資本規模が小さいため、貸倒リスクが極小となる保証協会付き融資を好む傾向があります。
私の経験では、信用保証協会の保証付が付いた場合で信用金庫側の審査が否決となった例はありません。
③ 低金利かつ長期固定の金利で借入を行える
信用保証協会と金融機関、および地方自治体が連携して設計した「制度融資」という融資制度があり、低金利かつ長期固定金利であるものも多いです。
また、支払った利息を地方自治体が補給してくれる場合もあるなど、中小企業支援を重点に置いた内容になっており、借入を希望する際はまずは制度融資をチェックすべきでしょう。
デメリット
① 信用保証料が必要となる
保証をしてもらう以上、信用保証料が必要となります。これは借入金利とは別となっているため、信用保証料と借入金利を考慮したうえで借入条件を検討する必要があります。
また、保証料率は基本的にその企業の信用力により変動します。
② 借入を受けるまでに時間がかかる
借入の審査は、金融機関と信用保証協会それぞれ独立して行なっており、また双方での書類のやり取り等があるため、ある程度の時間(※)がかかることが一般的です。
小切手や約束手形の決済資金など、期日が明確に決まっている資金ニーズの場合は注意が必要です。
※案件の内容や業績によって審査にかかる時間は変化します。また、保証協会でも支店決済ではなく本部稟議が必要である場合もあり、一概には言えませんが、長くても1週間くらいと言っていいと思います。
この1週間という期間は、保証協会サイドでの時間であり、金融機関サイドでさらに1週間ほどかかるのが通常です。過去に融資が通った企業であれば時間短縮も可能ですが、それでも合わせて10日は見ていただきたいというのが現場の意見となります。
プロパー融資とは?
保証会社等の保証を付けない融資を「プロパー融資」と呼びます。金融機関が単独で融資を行なう「自前の融資」と理解すればよいでしょう。
保証会社の保証を付けないため、プロパー融資を金融機関が行なう際は、担保や保証人を徴求するのが一般的です。
保証付き融資と違い、金融機関にとっては間違いなく保証してくれる存在がない融資となるため、貸倒リスクが高い融資となります。
よって、融資審査は慎重にならざるを得ず、またリスクに応じた金利条件となるため、保証付き融資よりも高い金利設定となるのが一般的です。
プロパー融資のメリットとデメリット
メリット
① 保証料が不要
プロパー融資は保証会社等を利用しない借入ですので、保証料は発生しません。
② 信用保証協会の利用枠を使用しない
信用保証協会は無尽蔵に利用できるわけではなく、1企業に対する利用限度額が設定されています。
※ 信用保証協会保証付き融資の金額枠 限度額は?
信用保証協会の保証が付けばほぼ借入は受けられるわけですので、あえてプロパー融資を利用し、その枠を今後の重要な資金調達局面まで温存することも検討すべきでしょう。
③ 借入条件の自由度が高い
信用保証協会を利用する場合、制度融資などは金利および借入期間の上限が設定されているなど、「パッケージ商品」の性格が強くなります。
それに対し、プロパー融資の金利は金融機関との交渉で決まります。また、借入期間についてもプロパー融資は、資金使途にもよりますが柔軟な対応が可能です。
プロパー融資は案件ごとの「オーダーメイドの融資」なのです。
デメリット
① 融資審査のハードルが上がる
保証が付かない以上、金融機関は焦げ付いた時の回収の不確実性が高くなると判断し、当然に融資審査は信用保証協会保証付き融資よりも厳しい目線で行なうことになります。
また、信用保証協会の保証が受けられずにプロパー融資を申し込む場合などは、すでに信用保証協会の審査が通らなかったわけですので、プロパー融資を受けられる確率は極めて低くなります。
② 借入金利が高めとなる
上記①と同様の理由で、金融機関は貸倒リスクに備えるため保証付きと比較して高めの金利設定となる可能性が高くなります。
③ 担保・保証人が必要
必ずではありませんが、担保・保証人の提供が必要となる場合があります。
その会社の代表者以外の人物に保証人となってもらえるよう依頼するのは決して簡単なことではないでしょう。また担保を提供してもらうことも同様だと考えます。
保証付き融資とプロパー融資の違いを上手く活用する
信用保証協会保証付き融資とプロパー融資のメリット・デメリットを理解したうえで、信用金庫から有利な融資を受けたい場合、どのようなアクションを起こせばいいのでしょうか?
これは自社の状況により大きく変化しますので、状況別で説明します。
① 決算書の内容が優良である場合
自社の決算内容が優良(連続利益計上中、潤沢な自己資本、等)で、信用金庫側から借入依頼のアプローチを受けたことがある場合は、信用金庫は既に御社をプロパー融資の対象先として考えている可能性が高いです。
この場合は低コストの資金調達であるプロパー融資を第一選択とし、信用保証協会と金融機関、および地方自治体が連携して設計した「制度融資」以下の金利条件を依頼すべきです。
当然に無担保・保証人は代表者のみの条件も付しましょう。また、この場合は運転資金・設備資金のどちらでも同様のアプローチで問題ありません。
② 決算書の内容が優良でない場合
自社の決算が連続して赤字計上であったり、大幅な債務超過(純資産の部がマイナス)であったりする現状で、信用金庫へ運転資金の融資依頼を行なった場合、信用金庫はまず信用保証協会の保証付き融資を検討します。
決算内容が芳しくない先へのプロパーでの運転資金の融資は、審査において返済原資を明確に提示する必要があり、時には融資対応後の業績推移予測(改善されていく予想)も行なう必要があるなど、非常にコストフルな作業となります。
それに対し信用保証協会の保証が付く場合は、満点の保全が付くわけですので審査は通りやすくなり、結果的に作業負担は激減します。
よって、信用金庫はまず信用保証協会付き融資を検討することになるのです。
運転資金の調達の場合、融資が実行される日(入金日)は極めて重要です。指定日に融資が実行されず、小切手や約束手形が決済されなかった場合、企業の存続に直結します。
スムーズに融資審査を行なってもらうための一つの方法として、信用金庫に相談する前に信用保証協会へ出向き、決算書を提出し保証を受けられるかの相談をすることがあげられます。
信用保証協会の保証が付けば、信用金庫は極めて高い確率で融資対応をしますので、キーマンである信用保証協会と自身で交渉し内諾を得ておけば、融資はほぼ確実なものとなります。
信用金庫としては信用保証協会への事前相談の手間が省かれるため、審査のスピードを上げられますし、信用保証協会は動き出しているため、担当者による案件放置のリスクも下げられます。
決算内容の悪い企業への融資審査は、信用金庫の担当者にとって極めて負担となる作業であると認識しておくべきです。
業績の悪い時ほど活きる信用保証協会の保証付き融資
ここまで信用保証協会の保証付き融資とプロパー融資を比べてきましたが、決算内容の良い企業はオーダーメイドのプロパー融資を活用し、決算内容の悪い企業は信用保証協会の保証付き融資を活用した方がよいとの結論となります。
決算内容の良い企業は、金融緩和政策と金融機関の融資競争から、プロパー融資を受けやすくなっており、また金利や借入期間などの融資条件についても希望が通りやすくなっていることから、信用保証協会を利用するメリットは少なくなっています。
反面、決算内容の悪い企業はプロパー融資を受けづらく、また受けられたとしても金利水準は高くなり、また保証人を徴求されるなど、条件面で厳しい内容が提示されることになりますが、信用保証協会を利用できれば、低金利かつ固定金利の制度融資も利用でき、保証人も原則代表者のみで良いなど、優良企業と遜色ない条件での融資を受けられる可能性が高まります。
信用保証協会の保証付き融資、またはプロパー融資のどちらを利用したらいいかの答えは、自社の決算書の中にあります。まずは、自社の現状を把握することから初めてはいかがでしょうか。
※ 信用金庫で保証付きではなくプロパー融資を受けられるようになるには?
信用保証協会保証付き融資の金額枠・限度額
信用保証協会保証付き融資には無担保で利用出来るものと、有担保でないと利用出来ないものがあり、一社あたり無担保は8,000万円、有担保が2億円となっております。
この8,000万円と2億円を合わせた2億8,000万円部分は「一般保証枠」と言われており、その他、中小企業信用保険の特例措置等に基づき各種の政策目的により創設された「別枠保証」が設けられていることもあります。
例えば「セーフティーネット保証」という制度がありますが、こちらは一般保証の2億8,000万円とは別枠で最大2億8,000万円を借りることが出来ます。但し、利用するためには別途基準が設けられていますので、どの債務者でも利用出来るという訳ではありません。
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信用金庫で保証付きではなくプロパー融資を受けられるようになるには?
信用金庫で融資を受ける場合は、原則として「保証付き融資」と「プロパー融資」のどちらかとなります。
プロパー融資は信用力のバロメーター
保証付き融資はその名の通り、各保証会社から保証を付与してもらって受ける融資であり、借主のメリットとしては連帯保証人や担保が不要となることがあげられます(必要となる場合もあり)。
また信用金庫側としては、回収がほぼ不可能となった場合に保証会社から全額保証してもらえるというメリットがあり、借りる側・貸す側双方にとってメリットがある融資形態となっています。
こう聞くと保証付き融資はいいことづくめに感じますが、あながちそうではない面もいくつかあります。
デメリットとしては
①保証料が必要になる
②長期の返済期間が取れない
③融資金額の上限がある
等があり、実際の借入計画に合致しない場合も多数あるのです。
これに対しプロパー融資は、借入金額・借入期間の上限は明確に設定されておらず(設定のある信用金庫もあり)、担保提供・連帯保証人は必要となる場合がありますが保証料は不要であり、また金利も交渉次第であるなど、自由度の高いオーダーメイドの融資となります。
一方、信用金庫にとってプロパー融資は保証会社の保証がない融資となりますので、返済がほぼ不可能となった場合、連帯保証人への返済の請求、担保物件の売却などの膨大な業務コストが発生し、また全額回収の保証もないなど、保証付き融資と比較し極めてリスクの高い融資となります。
そのため、プロパー融資の審査は慎重にならざるを得ず、ハードルはおのずと上がることとなります。
プロパー融資は自由度が高く、借主の意向に沿った組み立てができる融資である一方、信用金庫側としては慎重な審査を行なう必要がある融資であるならば、自社の意向通りのプロパー融資が受けられるということは、自身の会社は信用金庫から信用されていると判断できる訳です。
そういった意味でも、プロパー融資を受けられるかどうかは経営者として把握しておくべき事項なのです。
プロパー融資における信用金庫の審査ポイント
信用金庫の担当者がプロパー融資の申し込みを受けたとき、検討する要素は以下のものがあります。
① 顧客属性(資産背景、経営者の来歴、反社会的勢力関係者であるか否か、等)
② 資金使途(借主の発展に寄与するか否か、規定に沿う資金使途か否か)
③ 返済原資(一時的ではなく安定的なものであるか)
④ 保全(担保価値があるものか否か、換価安易なものであるか否か)
これらの要素において懸念がないと判断された場合、高い確率でプロパー融資は決定されます。
また、この順番は重要な要素の順番ともなっています。たとえば、顧客属性に問題なく資金使途も妥当性がある場合であっても、返済原資が認められない場合は、十分な担保があったとしても否決の可能性が高くなります。
また、返済能力は十分に認められ、担保も問題ない場合であっても、資金使途が無謀な設備投資であったり投機資金であったりする場合などは否決となります。
逆に、①~③まで問題がないのであれば、担保は不要となる場合もあります。
各要素について以下で詳しく見ていきましょう。
① 顧客属性
事業の成否のカギは、やはり経営者が握っています。よって、経営者がどういった人物であるのかどうかの見極めは最初に確認すべき重要な要素となります。
また、信用金庫は反社会的勢力関係者との取引を固く禁じられていますので、対象者であると認識されていると融資は受けられません。
信用金庫に自身・自社をアピールする場合、これまでの業歴・実績は強く前に出しましょう。現在営んでいる事業に精通していることは、今後の事業の安定推移の可能性が高いと判断されます。
自身または自社が保有している資格や許認可、決算書以外のこれまでの実績をまとめた資料の提出は効果大です。
私の経験では、プレゼン資料を作りこんでいる経営者は自社を深く把握しており、SWOT分析を常に行なっている印象を強く受けるので、それだけで人物評がかなり上昇します。何よりそういった資料があると稟議作成時にかなりの労力の削減ができるため、これほどありがたい物はないのです。
第一関門を突破するためにはまず自社のプレゼン資料。これは声を大にして言いたいと思います。
法人・個人で保有している資産がある場合はしっかりとアピールしてください。資産背景は担保に取る取らないにかかわらず信用力を示す重要な要素です。多ければ多いほど良いので最初に提示した方が有利です。
② 資金使途
借りたお金で何をするのか、これは融資の根幹の話となるため詳細な資料が欲しいところです。
工場の建築、車両の購入、運転資金等、資金使途は様々かと思いますが、信用金庫が注目するのは「資金使途の妥当性」です。
例えば工場の新設などの場合、予想受注額に対し明らかに過大な工場である場合や、超高級車を営業車両とする場合など、その資金使途が顧客の発展に寄与しないと判断した場合は、融資は謝絶されてしまいます。
また、投機資金や反社会的勢力への資金供給につながるものはそもそも対象外となっています。
融資申し込み時点では、設備資金であれば設備の概要と見積書、そして設備導入による効果をプレゼンされた方がよいと思います。
どちらにしろ信用金庫からは「費用対効果はどうなりますか」というニュアンスの質問が必ず来ますので、準備しておくに越したことはありません。
運転資金であれば支払予定の明細や、今後の受注予定表を準備されるといいでしょう。
③ 返済原資
借りたお金をどう返すか。これは信用金庫職員に限らずバンカーとしての目利きが問われるところです。
手元に揃った各種資料から返済の確実性をどう判断するか、究極的に融資というのはここに集約されます。
過去3期の決算書において、当期純利益と減価償却費を足したもので現在の借入とこれからの借入の年間返済元金が賄われているならば、担当者には「簡易キャッシュフローで十分に返済原資はあり、また今後の業況に大きな下振れはないと考えている」と伝えましょう。
信用金庫にとってこれは強力なロジックですので担当者は「返済原資に懸念ないな」と考えます。返済原資が実績から確認できることは、これ以上ない強みであり、積極的にアピールすべきなのです。
一方、決算書から返済原資が確認できない場合はどうしたらよいでしょうか。
設備資金の場合は、設備投下によるキャッシュフローの増加を示すことが必要となります。設備投下後の事業計画書を作成し、返済に懸念ないことをアピールすべきですが、自身にて作成ができない場合は会計事務所や商工会議所へ相談し、作成の支援を受けるとよいでしょう。
また信用金庫には「この計画は会計事務所と相談して作成している」と伝えると、計画に対する信ぴょう性が高まります。
運転資金の場合は、今後の入金予定の一覧、または受注明細にて返済原資を特定する必要がありますので、提出は必須となります。
④ 保全
前提として、保全は必須ではありません。
顧客属性、資金使途、返済原資に強力な裏付けがあり懸念ないと判断すれば、無担保でかつ連帯保証人は代表者のみの融資も珍しくはありません。
保全は回収不能になった場合に効果を発揮するものであり、回収不能の可能性が極めて低いのであればそもそも不要なのです。
また、借り手側もできれば担保提供は避けたいところですので、前述の通り資産背景の開示はすれども担保提供はできれば避けたい旨は最初の相談時にはっきりと伝えましょう。ただし必須との回答であれば検討するとも付け加えてください。
担保提供あり・なしの場合の条件提示をされた方が、借り手側の選択肢が増えることになります。選択肢を複数確保することは、融資交渉において極めて重要なのです。
担保物件は土地や建物等の不動産だけとは限りません。
定期預金や棚卸資産、家賃を受け取る権利などの動産も担保とすることができます。特に定期預金を担保とする預金担保は比較的低金利で信用金庫側のリスクもほぼゼロですので、迅速な回答が得られます。
金融資産以外の動産を担保とする場合は信用金庫側の手続きや審査が煩雑となることからあまり好まれません。ですが担保価値として一般的には認められていることは認識しておくべきでしょう。
不動産資産がないからといって担保提供できるものがないわけではないのです。
プロパー融資獲得に必要なこと まとめ
自社がプロパー融資を受けられるか否かの把握は、安定的な事業継続において重要な項目です。
信用金庫との交渉において重要なことはこれまで記載してきましたが、簡単にまとめると以下のようになります。
・自社および自身のプレゼン資料を作成しておこう
・決算書3期分を持参し、当期純利益+減価償却費で返済原資をアピールしよう
・導入希望設備の資料を準備しておこう(設備資金の場合)
・事業計画書を作成しよう(設備資金の場合)
・入金予定明細・受注明細を準備しよう(運転資金であれば)
これらの要素に懸念がなければ、プロパー融資を受けられる可能性は極めて高くなりますし、また自社の財務内容が優良であれば融資金利低減の交渉も可能です。
信用金庫は中小企業支援のための金融機関であり、また多くの信用金庫が収益の低迷で苦しんでいます。
その環境下での事業性融資案件は信用金庫にとってありがたい話であるため、おそらくは協力的な対応をしてくれるはずです。ポイントを押さえたプレゼンを行い、ぜひプロパー融資を勝ち取ってください。
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信用金庫の信用格付けと債務者区分ほか信金融資の詳細を信金マンが明かす
■信用金庫の融資審査の基本
▲融資審査の基本的な流れ
信用金庫から融資を受けたい場合は、当然に信用金庫の窓口にて融資申し込みをすることになります。そして融資を申し込んだ瞬間から、融資審査が始まることになります。基本的な融資審査の流れをいかに示します。
融資申込 → ①面談した担当者での検討・稟議作成 → ②融資担当役席の審査 → ③営業店支店長の審査(or決裁) → ④本部審査部署での審査 → ⑤理事長以下役員の承認 → ⑥理事長の決裁
融資の相談を行うことが事実上の申込みとなりますが、まずはその担当者が融資可能かどうかの検討を行います(①)。担当レベルで「これはとても融資できない」との判断に至れば融資は謝絶されてしまいます。担当者が融資可能と判断した場合、次にその支店の融資担当役席(副支店長・次長)が案件を精査し、融資可否の審査をします(②)。融資担当役席が納得した後、正式な稟議として支店長へ提出されることとなります(③)。信用金庫において融資が最終的に確定する「決裁」は、案件により決裁を下す人が変わってきます。すべての融資の決裁者は理事長(銀行での頭取)ではありますが、ある一定の金額や条件の中であれば、支店長に決裁権が委譲されています。理事長が直接決裁する稟議を「本部稟議」、支店長が決済するものを「支店長専決」と私たちは呼んでいます。支店長専決で対応するのであれば、融資審査は③で終了となり、融資は確定します。本部稟議となった場合は、④の本部審査部署での審査に回ることとなります。本部審査部門の審査を通過した後は理事長以下役員の承認⑤および理事長の決裁⑥へと進みますが、ここで融資不可となるケースはほとんどないといっていいでしょう。ここを通過して初めて融資は決定されます。
▲融資審査、自己査定、債務者区分、企業格付はどのような関係性にあるか
融資審査において判断基準とする要素に「債務者区分」と「企業格付」があります。これら2項目は金融機関が行っている「自己査定」と呼ばれる作業において決定されています。簡単に言えば、債務者区分は金融機関にとって債権を色分けするものであり、企業格付は企業の評価をランク付けしたものと考えていただければいいと思います。
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信用金庫から融資を受けたい場合は、当然に信用金庫の窓口にて融資申し込みをすることになります。そして融資を申し込んだ瞬間から融資審査が始まることになりますが、融資審査において判断基準とする要素に「債務者区分」と「信用格付」があります。
これら2項目は金融機関が行っている「自己査定」と呼ばれる作業において決定されています。
簡単に言えば、債務者区分は金融機関にとって債権を色分けするものであり、信用格付は企業の評価をランク付けしたものと考えていただければいいと思います。
融資審査、自己査定、債務者区分、信用格付はどのような関係性にあるか詳しく見ていきましょう。
債務者区分とは何か?
金融検査マニュアルで定義されている「債務者区分」をわかりやすく
金融機関は自己査定において、債務者を以下の区分に分類しています。
勘違いしていただいては困るのは、債務者区分は融資取引がある企業を分類しているものであり、融資取引がない企業は分類のしようがないということです。
・正常先
・要注意先(要管理先)
・破綻懸念先
・実質破綻先
・破綻先
「正常先」はその名の通り財務内容や業況、見通しともに問題がない先です。
「要注意先」は、すぐに破綻する懸念はないものの債務の返済について注意を要する先で、2期連続赤字であるなど財務上の数値やCFに大きな影響を与える事象(係争案件等)が確認できる場合などに分類されることとなります。
「破綻懸念先」は事業の継続に強い懸念がある先を示しており、連続赤字かつ債務超過状態であり解消の見込みが立たないなど、CF上も通常の返済原資が確認できない場合に分類されることとなります。
「実質破綻先」は、現状で約定返済が不可能となっており、かつ利払いができていない場合などや、破綻はしていなくても事業停止状態であるなどの先で、ここから自己破産に進んだ先等を「破綻先」と分類します。
債務者区分は融資審査に極大の影響を与えます。
個人的な感覚で事例によりますが、正常先が通常の融資審査の対象で、要注意先になると融資審査のハードルはいきなり跳ね上がります。
安定的な返済に注意が必要な先となっているわけですから当然ですし、金融機関は保全と返済原資に徹底的にこだわってきます。
破綻懸念先が新規融資を受けられる可能性はほとんどないといっていいと思います。受けられたとしても破綻を回避するためのスポット対応などが限界でしょう。
実質破綻先や破綻先への融資はあり得ません。そもそも事業を行っていない状態がほとんどですので、「事業性」融資の必要性はどこにもありません。
金融機関にとって債務者区分は融資判断の一つの要素ではありますが、それ以上に引当金の算出根拠となる面のほうが重要です。
特に破綻懸念先以下になると、保証および不動産担保で保全されている以外の融資金額について多大な引当金を積まなければならず、利益の減少に直結します。その点からも、破綻懸念先以下への新規融資はあり得ないといえます。
債務者区分を決定するために、信用格付けがどのように利用されているか
債務者区分決定の最大の要因は、やはり決算書です。
決算書をシステムに入力し、算出された「信用格付」の結果から自動的に債務者区分が割り振られますが、これはあくまで機械的な処理の結果であり、そこから一時的な要因やこれからの確実性の高い見通しなどを加減算し、最終的な債務者区分の決定を行っていくことになります。
ではありますが、機械的に出力された信用格付の結果が債務者区分決定の中心点となりますので、重要な要素であることに変わりはありません。
信用格付はどのように行われているか
信用格付とは何か?わかりやすく
信用格付とは、主に決算書のデータをベースとした金融機関内でのランク付のことです。
これは融資取引があってもなくても出力できるデータであり、融資取引がないと区分できない債務者区分とは違います。
信用金庫は融資審査において、その企業にどれくらいのリスクを取るべきなのか、どれくらいの金利を付けるべきなのかの判断をしなければなりませんが、判断基準の少なくない部分を信用格付が占めています。
信用金庫によると思いますが、ランクによってベースとなる金利などが決められている場合もあります。
信用格付は決算書がベースとなりますが、決算書以外の情報も加味する場合があります。例えば代表取締役が所有している不動産を会社の資産と見なしたり、代表取締役の個人事業からのCF(キャッシュフロー)を会社のCFにオンするなどして格付に好材料を反映させたり、逆に簿外債務を考慮したりと、金融機関が入手できる範囲の情報をすべて入力して企業格付を行うことが一般的です。
企業格付けには、どのような種類があるのか
信用格付の出力結果は金融機関によって違う場合がありますが、私の勤務する信用金庫ではAAA~A、BBB~B、CCC~C、D、の10段階で出力されています。
AAAが最良でDが最低です。AAAの企業は客観的に見て極めて財務内容が優良であり、融資審査においてはその格付だけをもって、資金使途に問題がなければほぼ可決となるくらいのレベルです。
CCC以下はかなり慎重な融資姿勢となります。ちなみに債務者区分を機械的に判断する場合はCCCから要注意先となっています。
定量評価
信用格付は、ベースとして決算書のデータを入力することにより出力される数値でランクを算出するスコアリング方式をとっています(定量評価)。
評価対象となる項目は多岐にわたりますが、安全性(自己資本比率、流動比率等)、成長性(売上高総利益率、経常利益増加率等)、返済能力(債務償還年数等)などがあり、それぞれの項目で0~10点の範囲内で算出されています。
また、突発的な事象を原因とした数値や業界平均からあまりにもかけ離れた数値は0点となるなど、異常値に対して補正をかけることにより正確性を維持していますが、中小零細企業の場合は大企業と違い決算書がこなれておらず極端に財務内容が良い先もあり、異常値が多くあるため超優良先が予想外の格付となる場合もあります。
そういったことは信用金庫サイドもわかっているため、融資審査において不利に働くことはないと思われます。
定性評価
定量評価は決算書の数値、および代表取締役等の簿外資産・債務を考慮した結果から算出された数値を評価するものでしたが、定性評価は数値に換算できない無形のものを評価することを指します。
例えば同じ決算内容でも創業から2年しか経過していない企業と100年営業してきた老舗とでは、決算内容の信ぴょう性が違います。
信用がモノを言う市場経済において業歴の長さは加点対象となります。
また取引先の安定度や代表取締役の健康状態も加点減点の対象となるなど、定量評価ほどではありませんが複数の評価項目があり、信用格付のスコアに影響を与えています。
とは言え、数値に換算できない無形の事象を評価するため、その判断基準のエビデンスが弱いことが多々あります。よって、企業格付けにおいての影響力は限定的です。
企業格付の土台となるものはやはり定量評価であり、定性評価はドレッシングレベルであるといえるでしょう。
今後の信用金庫の融資の方向性
平成不況の中の融資姿勢
かつてのバブル経済の崩壊を起点として、日本の金融機関は不良債権処理という「呪縛」にとらわれてきました。
次々と金融機関における資産である債権が不良化していき金融機関のバランスシートが毀損していくなかで、新規の貸し出しよりも既存債権のメンテナンスが重要視されていたのは自然な流れです。
また金融庁検査においても債権を査定する資産査定が厳格化され、金融機関は債務者のランクダウン=引当金の積み増しにおびえる日々が始まりました。
既存の不良債権の処理もままならない中、リスクをとった新規融資を増加させることは、リスク許容度が低下している金融機関にとって矛盾以外の何物でもなく、当然に融資審査は厳しいものとなっていきます。所謂「貸し渋り」です。
そんな中でも金融機関は収益を上げるため融資を行う必要があったため、貸し出しの主流となったのが「保証協会保証付き融資」です。保証協会の保証が付けば全額保証されるわけですので、デフォルトリスクはゼロとなり、審査上否決となる可能性もほぼゼロです。
平成20年頃、私が得意先で活動しているときは1年間プロパー融資の取り扱いがゼロであったことがありました。そもそもプロパー融資という選択肢は最初から除外されている、そんな状況でした。融資審査における最大のポイントは「付保か否か」。極端な話、それだけでした。
不況の中、企業は借りたくても借りれない、金融機関は貸したくても貸せない、そんな無い無い尽くしのなか、平成不況が深化していった実感が残っています。
最近の金融庁の動き
不良債権問題もあらかた片が付き、世界の好景気を尻目に日本だけが低成長にあえぐ中で、金融庁は方向展開を開始しました。
これまでの安全性を重視した融資姿勢から「担保・保証に過度に依存しない融資対応」「企業の事業性を注目・重視した融資対応」にシフトするよう金融機関に下知します。担保・保証を十分に提供できない企業は、基本的には資産が少ない「持たざる者」です。
そういった企業の事業性を評価し融資を増やすようにとの指示は「レバレッジ経営を行う企業を増やす」ことにほかなりません。これからの成長産業や新規参入企業に対し柔軟に資金供給することにより経済を活性化し国民の厚生に寄与することが金融庁の狙いであることは明らかです。
事業性評価とは
金融庁の方向転換により、これまでとは違う柔軟な融資対応を求められる中で、各金融機関は「事業性評価」の取り扱いに苦慮することとなります。
事業性評価は各金融機関でその評価方法が相違していますが、ベースとしてはSWOT分析やファイブフォース分析などの「フレームワーク」に落とし込んで評価する流れが主流だと考えます。融資審査をするうえで事業性評価を「可視化」するのにフレームワークは非常に都合がよかったといえます。
ベンチマークとは
金融庁は「金融仲介機能の改善」を行うと明示しています。「改善」ということは、現状は「劣っている」とオフィシャルに宣言していることにほかなりません。
金融庁は金融仲介機能の改善のために、企業が「役に立ちそうな」金融機関を選べることが必須であると考え、金融機関を一定のベンチマークの元で客観的に評価できる体制の構築に動いています。
これから企業は各金融機関が開示するベンチマークをもとに、自社にとって最も有利な判断をしそうな金融機関を選択できるようになるかもしれません。
今後の銀行融資の方向性
金融機関はこれまで平成不況を背景に保全を重視した融資姿勢をとってきました。その後、不良債権問題が一旦の終息を迎えましたが、そのトラウマは強く残り、高格付の企業にのみリスクテイクを行いミドルランク以下の企業については保証を求めていく姿勢となっていきました。
その流れの中では、新たなビジネスチャンスに挑戦したい新たな経営者や低業績の企業に対して柔軟に融資対応をすることができず、経済の活性化に金融機関が寄与できていないとの批判が出るのは当然です。
今後は金融庁の旗振りの元、各企業の事業性を評価した融資姿勢に変わっていくことが予想されます。それは企業に対してだけではなく、低収益にあえぐ金融機関にとっても新たな福音となる可能性を秘めています。
これまでのローリスクローリターンの融資姿勢では収益の悪化に歯止めがかからないため、今後は積極的にミドルリスクミドルリターンを狙っていく必要性があるのです。
そのビジネスモデルの肝は事業性評価の精度を上げることにほかなりません。事業性評価はこの国の経済成長につながる重要な概念となると思います。