ETCコーポレートカードを利用すると、高速道路の支払いをキャッシュレス化できたり、お得な価格で高速道路が利用できたりなど様々なメリットがあります。
しかし、ETCコーポレートカードと聞くと、利用するメリットやデメリットをしっかりと理解していない方が多いのではないでしょうか。
ETCコーポレートカードはいくつかの種類に分類されているため、選び方を間違えてしまうと利用するにあたって損をすることになってしまいます。
ETCコーポレートカードを利用するメリットとデメリットについて解説します。
ETCコーポレートカードの特徴やメリット・デメリットについて解説
ETCコーポレートカードとは、高速道路を頻繁に利用する法人と個人事業主専用のETCカードのこと。
月の利用額に応じて割引額が増加する仕組みになっているため、高速道路の利用額が月に数万円〜数十万円かかる事業者にとってはお得なETCカードです。
ETCカードを利用するほど利用額が割引される効果は絶大で、実際にETCコーポレートカードに切り替えた事業主の方の中にも、年間で数十万円ほどの費用を削減できたという事例があります。
割引額については以下を参照してください。
首都高・阪神高速
利用料金(車両1台/1ヶ月) | 割引率 |
5千円を超え~1万円の部分 | 10% |
1万円を超え~3万円の部分 | 15% |
3万円を超える部分 | 20% |
中央環状線より内側を通らない走行分の1万円を超える部分 | +5% |
ETCコーポレートカードを利用する4つのメリット
一般的なETCカードと違って、ETCコーポレートカードには様々なメリットが利用者に提供されます。
4つのメリットを一つ一つ詳しくみていきましょう。
メリット1:深夜0時〜4時の時間帯には深夜割引が適用される
深夜0時〜深夜4時までの時間帯にETCゲートを入場・出場した場合、通行料金が30%オフになる深夜割引が適用されるというメリットがあります。
深夜割引や朝夕割引などは、ETCコーポレートカードでなくても一般的なETCカードでも適用される割引サービスですが、法人専用のETCカードでは深夜割引や休日割引と「大口・多数頻度割引」の両方が併用して利用できます。
大口・多数頻度割引について
ETCコーポレートカード | 一般的なETCカード | |
大口・多頻度割引 | 〇 | × |
深夜割引 | 〇(大口・多頻度割引との併用も可) | 〇 |
平日朝夕割引 | 〇(利用時に直接値引き) | 〇(後日還元) |
休日割引 | 〇(土曜日・日曜日・祝日 / 毎年1月2日、3日) | 〇(土曜日・日曜日・祝日 / 毎年1月2日、3日) |
メリット2:平日朝夕割引が最大50%まで適用される?
平日の午前6時〜9時、午後17時〜20時までの時間帯にETCコーポレートカードを使うと、最大約50%料金が割引される平日朝夕割引が適用されるという点は大きなメリットです。
利用回数によって還元される数値が異なりますが、利用回数が10回以上で約50%還元され、利用回数が5回〜9回までは、約30%が還元。
(還元率は、1ヶ月ごとの対象走行回数によって異なります。)
利用回数が10回以上 | 約50%還元 |
利用回数が5~9回 | 約30%還元 |
ETCコーポレート以外のETCカードでも、平日朝夕割引が適用されることがありますが、個人用のETCカードでは、翌日20時以降の利用分から差し引いて還元されるのに対し、ETCコーポレートカードは請求時点のタイミングで減額されます。
メリット3:普通車・軽自動車(二輪自動車も含む)は土日祝日もお得な価格で利用可能
ETCコーポレートカードでは、普通車や軽自動車を利用した場合でも、土日祝日は30%の休日割引が適用されます。
ただし、休日割引が適用される範囲には地方限定となっており、東京や大阪の都心部近郊区間については対象外。
休日割引が適用されるのは普通自動車と軽自動車の2つだけなので、注意しておきましょう。
メリット4:クレジット審査は一切必要なし
ETCコーポレートカードでは一般的なETCカードの作成方法と違ってクレジット機能が備わっていないため、カード審査が行われません。
一般的な法人向けのクレジットカード審査では、事業歴3年以上で安定した収入を見込める事業者ということが絶対条件になってきますが、ETCコーポレートカードでは黒字実績が少ない企業や、事業を始められたばかりの事業主の方でも気軽に申し込み可能です。
ETCコーポレートカードの唯一審査対象となるのが、申し込み時に金融面ではなくETC車載器が搭載してあることや車両制限令違反の実績がないかの確認です。
過去に違反行為を行ったことのない事業主の方なら、安心して法人専用カードに申し込みできます。
ETCコーポレートカードを利用する3つのデメリット
ETCコーポレートカードを利用する3つのデメリットを紹介します。
実際にカードを利用される前に、メリット・デメリットを理解した上で利用していくのかを決めましょう。
デメリット1:ETCコーポレートカード1枚につき車1台までしか使えない
ETCコーポレートカードの割引が適用される車は登録車両のみとなっており、車両1台につき1枚ずつしか発行できないというデメリットがあります。
また、別のクルマを差し替えて使用することができないため、車を使用する機会の多い事業では台数分のETCコーポレートカードを発行しなければなりません。
ETCコーポレートカードに印字されている車両番号以外の車でETCカードを使用した場合や、社外利用者以外の方が使用した場合には、最大1年間の頻度割引停止措置の対象になってしまうため注意が必要です。
デメリット2:支払い保証が必要になってくる
ETCコーポレートカードはクレジットカードの金融商品ではないため、確実に徴収できる事業主の方しかカードが貸与されません。
金融商品ではないためクレジット審査を行う必要が一切ありませんが、カード発行時には、あらかじめ補償金を積んでおくなど、銀行や信用金庫機関の保証を獲得する必要があります。
デメリット3:手続きに手間がかかる
ETCコーポレートカードでは一般的なETCカードを作成する時よりも手続きに手間がかかってしまうのがデメリットです。
法人でETCカードを申し込む場合、法人登記簿や印鑑証明・保証人の印鑑証明など数多くの書類が必要になってきますが、書類を提出したら終わりではなく何度かやり取りを行いながら手続きを進めていかなければなりません。
急ぎで法人用のETCカードを作りたい方にはデメリットに感じてしまいます。
ETCコーポレートカードと一般的なETCカードの違い
ETCコーポレートカードは先ほども解説したように、「大口・多頻度割引」以外にも「平日朝夕割引」や「深夜割引」など様々な時間帯に合わせてお得な割引制度を備えている特徴があり、クレジットカード機能が付帯していません。
クレジット機能がない分、審査を受ける必要がないため審査に通過しやすいのは大きな特徴です。
ETCコーポレートカードは一般的なETCカードとは違って、クレジットカード機能が搭載していない分他人に悪用されるリスクは減少します。
ETCコーポレートカードの利用方法
ETCコーポレートカードでは、カードが届く前でも手続きを進めることが可能で、手続きの進歩状況によってはカードが届いたらすぐに利用することもできます。
カード利用対象者は以下になります。
カードに名前が書かれている契約者 |
契約者の使用人または従業員 |
契約者が事業協同組合であれば、カードに名称のある組合員 |
組合員の使用人または従業員 |
ETC車載器の管理番号の届け出をされている車両で、ETCコーポレートカードにも表示されている車両番号のみが使用可能です。
料金の支払い方法は口座振込で、毎月使用した分の請求書が届きます。
請求書が届いたら翌月末までに振込みましょう。
ETCコーポレートカードを利用する前に準備しておく物
ETCコーポレートカードの手続きをする上で、大量の送付書類を準備しておく書類があります。申し込みをする場合には、以下の書類が必要です。全て用意しておきましょう。
添付書類 | 個人 | 法人 |
申込者の法人登記簿 | × | ○ |
申込者の印鑑証明 | ○ | ○ |
保証人の印鑑証明(保証書による支払い保証をする場合) | ○ | ○ |
自動車検査証(写し) | ○ | ○ |
事業免許証(写し)、運行経路、回数、停留所等を明らかにした書類 | × | ○ |
その他窓口会社が必要と認める書類 | ○ | ○ |
ETCコーポレートカードの申し込み手順
ETCコーポレートカードには、FAXとインターネットの2つの申込方法があります。
それぞれの申込手順について解説します。
FAXで申し込む場合
FAXからETCコーポレートカードに申し込む場合には、以下の手順で申し込みを進めていきます。書面に必要事項を記入し、組合に書類を返送して手続きを行います。
【FAXで申し込む場合の手順】
1:WEB上でETCコーポレートカードの公式サイトにアクセスして、「FAXで申し込みを行う」にアクセス
2:ダウンロードした申込書に記入、捺印して提出
3:組合より郵送される「ETCカード申請書」に記入・捺印
4:添付書類や申込書などを添えて返送
5:出資金の1万円を振り込む(振込先は「ETCカード申請書」と一緒に案内されます。)
インターネットから申し込む場合
インターネットからETCコーポレートカードの申し込みを進める場合には以下の4つの手順で行いましょう。
【インターネットから申し込む場合の手順】
1:必要事項を入力し送信
2:組合より郵送される「ETCカード申請書」に記入・捺印
3:必要書類や申込書などを添えて返送
4:出資金の振り込み
ETCコーポレートカードの特徴やメリット・デメリットのまとめ
ETCコーポレートカードの特徴やメリット・デメリットについて解説してきました。
・利用額に応じて還元されるサービスや、時間帯によって高速利用料金が安くなる
・ETCコーポレートカードではクレジット機能が搭載していない分、審査がない
・深夜割引や平日朝夕割引など、各種サービスが豊富にラインナップされている
・ETCコーポレートカード一枚につき車一台しか利用できないので、注意が必要
・手続きに手間がかかり、必要となる書類も多いので、事前準備が必要
ETCコーポレートカードは、時間帯によって高速利用料金が安くなる法人専用のETCカード。
クレジットカード機能が付いていない分カード審査を行わないため、どんな事業者でも気軽に申し込むことができるのが魅力です。
ただし、ETC車載器搭載の車両であるのかという点と、車両制限違反ではないかという2点は審査対象になります。
ETCコーポレートカードを登録する前に、過去に違反行為を行なっていないのか、ETC車載器を搭載しているのかを必ず確認しておきましょう。